夜更けの寝言

掛け持ちおたくによる自分用備忘録。感想やレポ未満。

推しがいない舞台を観てきた話。

題名の通り、推しがいない舞台を観てきました。結論から言うと、凹みもしたけれど予想以上に楽しむことができてほっとしたよ、という話です。

今回観に行ったのは「ハイパープロジェクション演劇ハイキュー!!」通称ハイステ。初めて観たのは「烏野、復活」の矢巾公演。初演、再演の反響が予想以上に良かったから気になる……!という理由で矢巾へ向かったあの日。OPでステージが回ったあの瞬間の驚きや興奮を今でも昨日のように思い出すことができる。「月島蛍は実在する……」と譫言のように繰り返していた観劇後。この後からずぶずぶと小坂涼太郎くんと小坂涼太郎くん演じる月島蛍くん、ハイステというコンテンツにのめり込んでいき、そのまま2.5次元という沼に沈んでいった。私にとって、とてもとても大切な作品。その後からハイステ宮城公演はほぼ全通するという驚き行動に出て早2年。つい4ヶ月前に推しは、烏野は、演劇ハイキュー!!を卒業していきました。

卒業公演から1週間後に発表されたハイステ新作、「東京の陣」。正直なところ行くかどうか迷いに迷って、「もう推しはいないのに」「大好きだった烏野がいないのに」を繰り返しながらも今回観劇に至ったのはイベントの時に推しが発した「離れないで下さい、月島、頑張ったんで」の一言。この言葉はまあ、ハイステも推しくんからも卒業してしまった烏野キャストからもっていういろんな思いが込められていた、と私は勝手に感じているんですけど、この一言に背中を押されて観に行くことを決めました。が、4ヶ月間本当に不安だった。私は推しがいない舞台をどれぐらい受け入れられるのか、大好きな烏野というチームがいない今本当に観ることができるのか。
烏野だけでも今まで、木村達成さん、橋本祥平さん、猪野広樹さん、秋沢健太朗さんの卒業を見てきて、卒業後の公演で「ああ、本当に卒業してしまったんだな」と泣きに泣いて崩れ落ちる経験をしてきた私が推しの卒業にどれほど耐えられるのか未知数で。確かに新キャストへの期待も持ちながら当時は観ていたし、泣いて崩れ落ちるだけじゃなく、新キャストさんのここが好き、この解釈も楽しい、とプラスに捉えることもできていた。けれどそれって、須賀健太くんという座長が変わらなかったこと、小坂涼太郎くんという推しが居続けてくれたことが安心材料になっていたのではないか、ということに思い至ってしまい不安は増していくばかり。でも、推しくんの言葉に背中を押されてチケット買っちゃったしな……と自分に言い聞かせていた時に流れてきた「稽古始まりました」のツイート。烏野がいない、推しがいない、たった1枚の写真。現実をここまで突き付けられるかとあの晩私は泣いた。観に行く決心が揺らいだ。ハイキュー!!が大好きだけれどもチケットをお譲りに出すか悩んだ。でもやっぱり頭に過ぎる「離れないで下さい」。生で聞いてしまったからね、離れられるわけがない。

そして始まった公演。今回は大阪スタートだった。どんな風にみなさまは受け止めるのか、烏野がいないハイステ。どんな風に作り込まれているのか。初日終わった後、Twitterを開くのが怖かった。寂しい、というツイートもある中、楽しかった、面白かった、そうくるか!な言葉に安堵したのは言うまでもない。観劇した顔も知らない方々の言葉に助けられて、4/20、多賀城市民会館に足を踏み入れた。始まる前から怖かった。だって推しはいない。音楽を聴くのも怖かった。だって烏野はいない。
始まって、いつもの音楽じゃないこと、推しの声が聞こえないこと、いつもなら群ゼリで飛び出してくる須賀健太くんの声がないこと、他にもいろいろあって泣いた。最初から涙が出てきた。本当に卒業してしまったのだということをこの日私は初めて理解したのだと後から気付いた。この場面できっと推しならこう動くはずなのにそこに推しはいない。この場面できっとこんな声が聞こえてくるはずなのにその声の持ち主はここにはいない。泣いた。たくさん泣いた。現実を受け止めるって難しい。どうして卒業してしまったの?とまで思った。でもそれと同時に進んでいく物語にほっとした自分もいた。烏野がいた頃と同じ熱量で演じて下さっている。だからひとつひとつの言葉に動作に心が揺れ動かされる。大きく変わっていたらどうしよう、という不安は払拭された。音駒も梟谷も引き継いでくれた、繋いでくれた。まあ、ラップ大量発生には正直びっくりもしたけれど元々ハイステって新しいことたくさん取り入れて大きくなっていった感じはあったし。
「やろう、もう1回がない試合」にまた泣いた。あの約束は原作から見たら果たされているし、今後演劇ハイキュー!!が続くのであれば果たされる約束だ。でも、あの時約束したのは須賀くんと崇人くんで、つまり演劇ハイキュー!!としては本当の意味では一生果たされることの無い約束になってしまった。改めて突き付けられて悲しくも寂しくもなった。
そう、苦しくて堪らないはずだったのに。気付けば私は夜公演のチケットを手にし、翌日の昼公演のチケットも手に入れていたのだ。理由は簡単。もっと観ていたいから。あの熱量に圧された。今までと同じで目が足りなくてあの場面で他の子がどんなことをしているのか見たくなった。結局、宮城公演の全通が決定した。

推しが卒業していなくなってしまった舞台。苦しくて寂しくて観に行くかとても悩んだけれど観てよかった。ちゃんと繋がっていったことをこの目で確認することが出来て、あの熱量を肌で感じることが出来た。正直、今も苦しくて寂しくて凹んではいる。けれどそれと同じぐらい楽しかったと胸を張って言える。不思議だなと思う。これだから観劇はやめられない。