夜更けの寝言

掛け持ちおたくによる自分用備忘録。感想やレポ未満。

幕が上がった

当たり前が当たり前ではなくなってから半年以上が過ぎた。推しに会いに行けない日々は相変わらず続いているし、職場から出された県外への移動禁止令は依然として解かれていない。今まで当たり前のように通っていた舞台やイベント、ライブにも行けなくなってしまった。関東や関西で行われている舞台やイベントに羨ましさを感じながら過ごす日々である。そろそろ私だって推しに会いたい。


先日、やっと待望の舞台に触れることができた。ハイパープロジェクション演劇ハイキューだ。ハイステだけはほぼ毎公演、宮城へ来てくれていた。今回こんな情勢の中でも宮城へと来てくれたので観劇してきた。ずっと待っていた「ゴミ捨て場の決戦」。原作の中でも大好きな話だ。前の週、大阪公演最終日が中止となり戦々恐々としている中、発熱した方も陰性だったということで、ぎりぎりの開催。いつ中止になってもおかしくないのだ、とその日幕が上がるまで本当に怖かった。もうチケットの払い戻ししたくない……と悪夢を見たりもした。春先めちゃくちゃ払い戻し手続きに追われたせいだと思う。

いざ、会場へ向かうとコロナ対策がなされていた。整列用のテープ、入場前の消毒、検温。チケットもぎりは自分で行ったし、物販も最低限。ロビーではお喋りもほぼないし、し始めた方がいると係員から制止の声があった。会場内でもほぼお喋りはないし、1席ずつ空いていたり、前方2列潰されていたり、サイドシートに至っては1列ずつ空いていた。
これが今の観劇の現状らしい。これだけ座席数が減っていればなかなか当たらないはずだ。ここまで当たらなかったの最強の場所以来だったよ……

幕が上がってしまえば、そんなこと気にならなくなった。そこには今まで感じてきたのと同じ熱量があったから。勿論、ここに至るまでいろいろ、本当にいろいろあったことは知っているし、それら全てを許せるほど私はできた人間ではないけれど、それでも大好きな世界がそこにあった。自然と涙が出てきたし、もっと見守りたいとも思った。今まで繋がれてきたものがそこにあった。私の初観劇が「烏野、復活」だったこともあって、音駒への思い入れが強い自覚はある。絶対に観たかった公演をこのご時世でも観れたことへの感謝は、してもしきれない。たくさん対策をして、地方にまで来て下さったことにキャストさんにも、スタッフさんにも、感染対策を徹底したお客様にも感謝だ。


世界は変わった。まだまだ終わりそうにないどころか、拡大する一方である。
最後に推しに会えたのは2月。今年の推し初めが推し納めになってしまった。まだまだ推しに会いに行けそうにはないし、県外遠征も見通しが立たない。地元に来てくれない限り観劇もままならない。本当は人混みや外食もなるべくやめて欲しい、と職場からストップが掛かっている身なので、今回観劇に来た知人にも挨拶できなかった。誰かとお喋りすることすら叶わない世の中って意味が分からないね。

それでも、そんな中でこの作品だけでも観れてよかった。大好きな世界に触れられてよかった。
まだまだ終わりの見えないこの世界で、笑って観劇できる日を夢見てまた生きようと思う。

どうか最後は彼らが笑って幕が閉じますように。